若かりし頃、養豚コンサルタント獣医師として働いていたときの写真↑ 獣医事をめぐる情勢 令和4年2月 農林水産省 マネジメントのことを調べていたら、農林水産省の「獣医事を取り巻く情勢」の最新版が発表されていたので、引用と検討をしてみたので参考にしていただけると嬉しい。 獣医師は、家畜やペットの診療、口蹄疫などの家畜伝染病の防疫、食品の安全 など幅広い分野で活躍している。 獣医師として、約39,100人(令和2年) が免許を保有。 ① 産業動物診療分野:約4,300人(11%) 牛や鶏などの産業動物の診療に従事。 ② 公務員分野:約9,500人(23%) 家畜伝染病の防疫、食品衛生監視などの 行政に携わる獣医師。 ③ 小動物診療分野:約15,200人(40%) イヌ、ネコ等のペットの診療に従事。 ④ その他の分野:約5,600人(14%) 大学の教員、医薬品の開発などに携わる 獣医師。 ⑤ 獣医師として活動しない者:約4,600人(12%) (令和2年) 獣医事をめぐる情勢(農林水産省) このように見ると、その割合は、「その他分野」が増加傾向にあり、その他年により多少の変動はあったものの、大きく変わってはいないようである。獣医師の総数は増加傾向にある。(平成18年35808人→令和4年40251人) 男女比率からみる今後の課題 獣医業界で話題になっているのが、女性獣医師の比率である。 たしかに、60代、70代では女性獣医師は少なく、筆者の知る限りでも千葉県で最初に家畜保健所の所長になったM獣医師は、たぶん今、70代だと思う。大変お世話になったが、彼女の時代には、女性だから休む、などということもなく、男性と同じく激務に耐えた世代だ。その年代の女性割合からすると、この女性比率は納得がいく。 20代、30代になると女性獣医師の割合が半分近くなってきていて、獣医大学に置いては大体半分以上が女性なのだそうだ。こうなると、女性の無職の人数が、業界の動向に大きく影響を与えるようになってくるのは明白である。 無職について考えてみる 下記も、平成26年12月現在農林水産省調べ 赤字にしたのは、筆者があれ?と気になった部分である。 なるべくニュートラルに書いていきたいが、無職の20代はこんなにいるのか、ということである。 それから、この母数は、届出獣医師についてであるが、前出の総数からみると、10,000人程度が届をだしていないということになる。こうなってくると、女性の届出がない状況が伺える。それでも一番多い数字を出せるのが農水なのだし、上乗せするわけにもいかないだろうから、仕方ないのかもしれないが・・・。 「無職の男性」が、3.2%ほどいることに驚く。女性も6.0%。 国家試験に受かってから就職を考えたりすることもあるだろう。その関係で、就職が伸びてしまうこともあるかもしれない。また、公務員浪人なども考えられる。最初に行った職場でうまくいかず退職するケースも多くみられる。その後、就職ができていないケースも考えられる。 その他、気になるのは、女性の就職割合なのだが・・・。そんなに働いているのだろうか。家庭にいたら、届けを出していない可能性もある。 とはいえ、女性獣医師で職場復帰ができない人は多い。 周囲に聞くかぎりでは、農水の発表にあるように、 一度職場を離れて戻る自信がない、子育てをしながら働きづらい、体調面など、問題は多義に渡る。 国と獣医師会の女性獣医師就労支援農林水産省の事業で行っているのは、女性獣医師を「産業動物獣医師」に育てることになっている。
小動物の助成事業は何か行っていないか、と質問したが、食品のことを行っている、という答えだった。 食物自給率のことを考えると当たり前のことで、はっとはした。 「産業動物獣医師の確保対策」のほうで、 獣医学生等の就業の誘導、卒後研修による獣医師の定着化事業を行っている。 具体的な内容を抽出する。 獣医学生等の就業の誘導 1)獣医学生に対する臨床実習の実施 畜産地帯の獣医大学、農業共済診療施設等での臨床実習や都道 府県の家畜保健衛生所等での行政実習を実施 2)高校生等及び獣医学生に対する修学資金の貸与 高校生等:獣医大学入学前に大学へ納付する費用(175万円)を上限として貸与 獣医学生:月額12万円を上限として貸与 卒後研修による獣医師の定着化 1)新卒獣医師への初期臨床研修の実施 実践的な診断技術や臨床現場における基礎的知識の修得 2)中堅獣医師への臨床研修等の実施 農場管理技術や家畜伝染病の衛生管理技術の修得 ライフステージに応じた活躍の支援(平成27年度から実施) 1 )学生への情報提供 将来の就業先について考える機会を提供するセミナーや職場体験を実施 2)女性獣医師等のスキルアップ 職場復帰・再就職に当たって、最新の知識の習得や獣医療の技術の向上を図るための研修を実施 3)雇用者の理解醸成 女性獣医師等の就業に対する理解醸成を促すための講習を実施 ↑ここまで、上記資料より引用 平成28年の資料から引き続き、「女性獣医師が障害を通じて、能力を十分発揮できる環境づくりが大切」ということだが、男女含め無職率の意味が、もっと奥深いような気もしてきた。支援事業を始めて、結局無力率が変わっていないのであるから、全体の底上げをするのに、大学教育にもっと「生涯働くことに関して」「モチベーション」等の教育を導入する必要性も感じる。そうなると、コアカリキュラムを担当する文部科学省の担当かもしれない。そして、奥深い問題だと思われるので、どんな教育をすれば良いかもこれから考えていかなければならない。 また、奨学金制度は経済的に獣医大学に入学するのを諦めていた学生が入るきっかけとしてはありがたいのではないかと思う。イメージ的には、防衛大学のようだが・・・ また、獣医師の資格があるからといって、獣医師として働かなければならないわけでもないし、別の方向へ進むこともあると思う。 数字を見て、周囲の獣医師たちの動向をみるのは色々な可能性、思いが湧いてくる。 数字集めに限界はあるとは思うが、統計を出していただいた農林水産省や都道府県職員の方々に感謝する。
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Author福井利恵 Archives
3月 2022
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