今日は、ちょうど昨晩の経営者セミナーでお聴きしたホットなご意見をご紹介します。 「その先生は、いい人なのはわかる、アメリカの大学を出たすごい優秀な方なのもわかる。動物のために一生懸命なのも、悪気もないのも本当にわかる。・・・でも、説明が全然わからないんです。」 この方は猫ちゃんを飼われていて、耳血腫で手術をすることになった時の説明を、院長の説明と若い女性の説明をそれぞれ受けたそうなんですが、最初に聴いた院長の説明は難しい言葉の乱立でさっぱり理解が出来なかったそうです。これが後の若い女性の獣医師の説明では、もっと分かったというのです。これは男性と女性、院長とスタッフ、年齢の差等、も要因で、運が悪かったという部分もありますが、残念ながら、動物病院へ行かれた方から、このようなご意見は沢山いただいています。 では、このことに対して現場で出来る配慮を考えてみましょう。 〈医療用語はなるべく使わない〉 飼い主さんが?になっている言葉は例えば次のようなものです。 FNA(エフエヌエイ?エフエム??)、セイケン、セイカガク、ニョウなど ・・・普段使っていない言葉は、まず「音(おと)」で聞いてから認識するので、すぐにイメージとつながらないと、思考停止が起こってしまい、そこから先の話についてこられなくなります。 だいたい、動物医療関係者以外だと、「耳血腫」という言葉すら「ジケッシュ??」とはてなマークですよね。 〈飼い主さんはただで混乱している〉 おそらく、麻酔の話とか色々されたんだと思います。さらに飼い主さんは自分の猫ちゃんのことが心配で、言葉が頭に入りづらいというのもあったと思います。頭の中が混乱した状態で物事を判断する能力は、3歳児程度とも言われています。この状態で難しい言葉を理解するのは、それこそ困難なのかもしれませんが、私たち本当によくやってしまっていがちなのです。 動物病院には健康な動物で検診に来る以外は、飼い主さんは自分の動物に何かあったらどうしよう、という不安を抱えて来院しています。つまり動物病院では、ただでさえコミュニケーションがとりにくい状態なのです。だからこそ、わかりやすい言葉を使うことが大切です。 ちなみに、飼い主さんの耳血腫の説明は、こうでした。 「耳が張れてこ~~んなに(ジェスチャー)なって、もうパンパンになって、どうしようもなくなっちゃって手術しなくちゃいけなくなったんです!!」 ・・・いかがでしょうか、わかりやすいですよね。 相手に伝わりやすい言葉にしてあげるのも、そのために相手が使う言葉を使うことも、動物病院で配慮いただくと嬉しいです。 せっかく大切な家族を治してもらいに来て、その対価も支払うのに、 病院の先生にお礼を「ありがとうございます」って言いつつ、帰りにこう思っている方多いみたいです(これは本当に良く聞きます)。 「今日も先生が何を話してるんだか、良くわからなかった、・・・ま、仕方ないか。そういうもんか」 今日の臨床現場にお役立ていただけますと幸いです。
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Author福井利恵 Archives
3月 2022
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